ドラえもんの映画に行く

本来ならば4月1日から4日までの間は、キューリくんはスキー合宿で家を空けているはずだった。

しかしながら先日の火傷により、スキーは念のためキャンセルしている。そういうわけで、一気に暇時間ができてしまい、それを埋めるべく昨日はドラえもんの映画を観に都心へ。

8時台のチケットを予約し、朝のラッシュ時の電車に乗り込む。

ラッシュ時とは言っても春休み、学生がいないからか何となく車内は空いていて、整列乗車で辛抱強く並んだ甲斐あり、息子、主人、私の3人が並んで座る。

と、ほっとするのも束の間。

キューリくんは『お茶会』以来、乗り物の臭いにとても敏感になってしまい、昨日もやはり悪い予想の方が当たってしまった。

「お母さん、この電車臭い」

とはじまってしまったのだ。

「気持ち悪いの?それなら電車を降りるけど?」

出発前の電車の中でそう提案する。

おそらくこの電車を逃すと映画には遅れてしまうというギリギリの電車だったので、映画以外に今日という日を楽しめる代替案を考えねばならぬと私は覚悟した。

「ううん、大丈夫」

キューリくんは家を出る前から今日のお出かけについては興奮しっぱなしで、しきりに「楽しみだな」と小躍りで連発していたから、少しぐらいの苦痛は我慢しなければ、と本人も考えたのかもしれない。

「それじゃあ、気持ち悪くなったらすぐに言ってね。すぐに降りるから」

「絶対に気持ち悪くなったらすぐに言ってね」

そう何回も念を押すと電車は不安の中出発した。

ところがキューリくん、鉄道マニアなもので(描き鉄)、靴を脱ぎ窓の方へ向き直って外の景色を見ていたら、そちらに気を取られたのだろうか。

全く気持ち悪いという発言が聞かれなくなった。

そんなわけで電車は私の心配をよそに、あっという間に目的地に到着し主人とは駅で別れる。

朝の都心はそう道が混んでいなくて、二人で手を繋ぎながら歩いても問題はなかった。

映画館に着くと、お約束のポップコーンと飲み物を買い、そうして予約した席を探してそこに腰掛ける。

朝1番の回だからか、私たちを含めて3組しかいなかったようで、席はわざわざ予約しなくとも座れたであろうという、空き具合であった。

肝心の物語の内容は、私は正直ところどころ舟をこいでいたので映画が断片的にしか観られていなかったけれど、勿論キューリくんは真剣に全力で観ていたのだろう。

映画が終わり、手を繋ごうとキューリくんの手のひらに触れると、粘り気を含んだように湿っていた。

「キューリくん、面白かった?」

「うんっ!」

それはそれはとびきりの「うんっ!」であった。

もうそれ以上のことはあえて質問しなかった。何故ならキューリくんに質問返しをされた時、私が答えられなくて観ていなかったのがバレると恐れたからである。

さて大きな映画館に来るとお約束のお土産タイム。私のお財布と相談してにはなるけれど、何か一つならば好きなものを買ってもいいよという時間を設けることになっている。

ところが何故かその映画館にはドラえもん関連のお土産が殆ど置いていない。

「僕、ドラえもんのぬいぐるみがほしいんだけどな…」

とても残念そうで悲しそうな声を出すキューリくん。

そりゃそうだ。この感動を形として家に持ち帰りたいのは当然だと思う。

キューリくんは瞳に暗い影を落としたままだ。

そこでお母さんは即興ではあるが、良いことを思いついた。

「そうだ、キューリくん。ドラえもんに会える美術館があるんだよ。そこへ行ってみない?ここよりも沢山お土産あると思うし」

「本当に?!」

急にキューリくんの瞳が輝き出す。

「今日これから行くの?」

「ちょっと待ってね、調べてみるから」

藤子不二雄ミュージアムという、今まではキューリくんがドラえもんをはじめ藤子不二雄のアニメに興味を持っていなかったので、足を踏み入れたことのない施設である。

ところが最近ではアマゾンプライムビデオでハットリくんやパーマンを楽しみ、ドラえもんに関してはマンガを一巻二巻と読破しているくらい熱狂的ファンのため、そんな素敵なところがあると聞いて、興味が沸かないわけがない。

スマホでくるくると調べてみる。どうやら事前の予約なしには入場できないという仕組みらしかった。

「明日行ってみようか?」

「うん、行きたーい!」

即答だった。行く気満々にもほどがある。

近日、老骨に鞭打ってミュージアムに行く予定である。

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