テレビのない生活

何も教育熱心な両親という我々夫婦ではない。

テレビを捨てたのは2016年11月、つまりキューリくんが年長の時になる。

年少や年中の頃、私はキューリくんをお迎えに行くとそれだけで疲れてしまい、時には具合が悪くて主人に迎えに行ってもらい、布団に横たわっていることがほとんどであった。

持病である全身性エリテマトーデス双極性障害が複雑に絡み合い悪い状況を生み出していたので、なかなか立ち上がることができなかったのである。

現在もやはり横たわっていることの方が多いのだけれど、その頃は今よりもずっと朝から晩まで床にふしていることが多かった。

そうなると幼稚園児のキューリくん、まだ1人で遊べずに私の枕元へ色々な遊び道具を持ってきては「お母さん遊んで!」とせがんでくるのだ。

お母さんは具合が悪くて寝ている、ということはおそらく理解しているのだけれど、自分の気持ち(この場合一緒に遊んでほしいという欲求)を抑えることができずに、ついついまとわりついてしまう、そういう状況が続いていた。

寝ている私の頭の上にはレゴブロックがズラリと並べられ、お腹の上には何故かクレヨンの箱が乗っている。キューリくんはミニカー同士をガチャンガチャンと私の耳元で追突させて遊んでいる。そんな日常であった。

そこで対応に困ると私は、主人が帰ってくるまでの間テレビをキューリくんに与えるようになったのだ。その方が私もゆっくり休めたし、キューリくんも満足だったように見えた。

ところが私が元気になりテレビの力を頼らなくても大丈夫になると、キューリくんは不満を言い出した。テレビを観る時間が減るのだから当然といえばそうなのだけれど。

「1日1時間までね」制限を設けた。するとキューリくん、はじめのうちこそ文句を言ってはいたのだが、そのうちその制度に慣れたのか「アニメの番組が2回観られる」という計算を導き出したらしく、それに従ってテレビライフを楽しんでいた。

と思いきや、例えば時間がなくてその日はアニメ30分しか見られなかったとする。そうすると自分ルールで作ったらしい謎の繰り越しルールを主張してきた。

「昨日の30分余った分を今日の1時間に足して、だから今日は1時間半観られるんだ」といった風だ。

計算の練習にもなるし、とこれをはじめは受け入れていたのだけれど、そうすると今度は「今日は42分観たからあと18分ある」「昨日の分15分もあるから33分あるか」などとテレビの持ち時間ばかり気にする日々がはじまったのである。

さらには持ち時間の虚偽申告をしてまでテレビを観るようになったり、まるで良いことがなかった。というよりも極悪に進化を遂げていく。

こんなこと教育上もそうであるけれど道徳上悪い影響しかない。

はじめにテレビを無制限に与えてしまった私が悪いのは確かだけれど、でもどうにかしなければならないことだった。

「もうテレビを捨てます」

そう声を張り上げて私はキューリくんの前で宣言した。

「えー」

と悲鳴に近い落胆をキューリくんは表現する。

「キューリくんだけが禁止されるんじゃなくて、テレビを捨てるということはお父さんもお母さんも観られなくなるんだよ」

主人が決して不公平でないことをアピールする。

納得はいってないようだったけれど、半ば強制的に飲み込ませた。

ところがキューリくん、「運動会のビデオがみたい」「お遊戯会のビデオがみたい」と今度はせがむようになった。

そこで思い出に浸りたいのだろう仕方なし、と私のパソコンを与えて放っておいたら、ある日いつの間にかユーチューブを鑑賞していてびっくりしたことがある。

偶然ユーチューブにたどり着いたとはいえ、キューリくんの方が1枚上手であった。

そんなことでパソコンを使用するのも親がいるところ以外では禁止にした。

今度は「国旗を調べたい」だとか「地図を調べたい」などという学習を匂わす表現で映像を欲しがった。

こういうのには弱い。

子どもの学習意欲を潰すわけにはいかないし、寧ろ育つよう大抵の親が望むが我々夫婦も寸分違わないからだ。

主人はその「調べたい」という甘い言葉に誘われて、彼の2台あるタブレットの内の1台をキューリくんに差し出してしまった。

一日20分まで。これはどこかで聞いたくだりであるような。

案の定、テレビの時と同様またもや「あと12分ある」だのとはじまった。

さらに成長したキューリくんは知恵をつけたのだろう。

音が漏れないように布団をかぶって持ち時間よりオーバーして動画を楽しんだり、静かだな、と不審に思い家を捜索すると洗面所でヘッドフォンをつけながら鑑賞していたりする。

一言失礼してもよいだろうか。「何だこのクソガキ」である。

そういうわけで紆余曲折を経て現在は週末にだけ90分観ることができる、ということになっているわけだが勿論ご本人不満の様子。

子どもの映像欲というのは、どうしても断ち切れないものなのだろうか。

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