登園拒否 その7

二度目の登園拒否ともなると、さすがに保育園の方もマズいだろうと考えたようだ。保育園の方がようやく動き出した。

相手の子どもの親に、息子が暴力行為のおかげで登園拒否になっているということを伝えたというのだ。

話し合いの場所を設けるので、話し合ってほしいという連絡が電話で来た。

電話での説明によると、ゴウキという男子の親は、上にお姉ちゃんがいるので、よく家でも戦いごっこのようなことをしている、という言い訳をしているようだった。もう一人のコタロウという男子に関しては、どういう反応をしているのかという説明はなく、どうやらこれから連絡するらしい、ということだった。

まず両家に実情を話し、二つの答えを揃えてからこちらに電話することだと思ったので、正直呆れた。

それから私たち両親としては、2回も同じことを繰り返す保育園側の指導にもはや疑問すら抱いていたし、また何度も書いていることだが、とにかく一度も話し合いの席に担任が来ないという保育園側の態度に不信感を募らせていた。

さらには当事者同士に丸投げするという今回の姿勢。

電話で説明されても分かりにくいので、電話を切った後仕方なく話を聞きに行くために、主人とも連絡を取り保育園へ向かう。

保育園に着くと、門のところで立ちんぼしている若い女がいた。保育園に子どもを預けている親のようにも見えるけれど、知らない女だし軽く会釈して通り過ぎようとする。

するとその女が私に駆け寄ってきて「ごめんなさい。ごめんなさい」と涙を流しながらすがるように謝ってくる。誰なんだろう、この人。彼女の名乗りによれば、コタロウの母だった。

私はその場を大人の対応で切り抜けられず、怒りにまみれて彼女に声を掛けることもせずに保育園の中へと入っていった。

またいつものメンバーでの話し合いだった。主人、私、学年主任、園長の4人。一応保育園側の言い訳を聞く。息子が悪いという言い方すらしていなかったけれど、とにかく今後にチャンスをください、という言い方をした。

私は言葉を失った。保育園側にチャンスを与え、みたび息子が傷つけられてしまったら、どう責任を取るのだろうか、と。とにかく穏便に済ませようとする姿勢であり、息子のことなど何も考えていなく、また相手の子どものことも考えていない、ようするに自分たち(保育園側)のことしか考えていない、そういう言い方に私は聞こえた。

主人も私もその場では反論せずに、この先生方の演説の内容を一旦家に持ち帰り、冷静に考えてみることにする。

保育園からの帰り道、空はすっかり夜の色だったし、そういえばお腹も空いている。

「キューリくん、何食べたい?」

「…ステーキ!」

大人が話し合いの間、保育園内の一室に預けられていたキューリくんが元気いっぱい好物をおねだりする。

主人も私も『またか』と顔を見合わせ、そうして自転車に乗って家路を急いだ。

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