ペアレントトレーニング その9

セッション8では、許しがたい行動をどうしても制止できない場合の最終手段である「制限」すなわち「ペナルティー」について学んだ。

セッション9では、締めくくりとして、学校(園)との連携について学んだ。

「連携」とは?

「連携」というと大仰に聞こえるが、要するに「連絡を密にする」ということだ。
その上で、ペアレントトレーニングで学んだ手法や価値観を先生と共有し、家と学校で指導方針が食い違わないようにする。

より具体的にいえば、「先生とともに、子どもの目標を明らかにしていくこと」がカギになる。

学校で子どもがどのように生活しているか、それは先生しか知り得ない。だから先生に子どもの現状を聞いて、直したい点(問題行動)があれば、その裏返しである「あるべき姿」を目標として設定してもらう。

そして、その目標に向かって家庭でも努力するのだ。

たとえば「授業中に席を離れる」という問題行動があれば「席に着く」ということが目標になる。「先生の言うことを聞こうとしない」ならば「先生が話すときは、先生に注意を向ける」が目標だ。

連絡シート・連絡カードを活用する

家庭と学校との連絡は、毎回電話や対面では大変なので、連絡帳など、何らかの紙を使うことになるだろう。

そのときに使える「連絡シート」「連絡カード」なるものがレジュメに添付されていた。これを連絡帳に貼り付けたり、1枚ずつ切り取ったりして連絡に使ってください、というものである。

といっても、それほど複雑なものではない。たとえば1日1枚タイプの「連絡カード」は、単純化すると以下のような表だ。

行動 午前 午後
(例)先生が話すときは、先生に注意を向ける

目標行動を書いて先生に提出し、先生には「目標行動ができたら○をつける」ことをお願いする。

ここで「できなかったら×をつける」とはしないことに注意する。「できた」ことに着目し、それをほめるためだ。

一方、「できていなかったけど、頑張ってはいたから△」といった配慮も不要だ。あくまで目標行動を達成できたかどうかについて書いてもらう。

また、その日あった出来事の中で保護者に知ってもらいたいことがあれば、それも書いてもらう。こちらも肯定的な内容に限る。

そして重要なことは、このシートやカードを毎日記入し、毎日やりとりするということだ。1週間分まとめて報告されても効果が薄いそうである。

実施に先立ち、子どもには「シート(カード)を作ったこと」「学校で頑張ったことを先生から親に伝えてもらうためのものであること」「毎日、先生が記入して返してくれること」などを説明しておく。

連絡シート・連絡カードを受け取ったら

さて、このシートやカードを記入してもらったら、家庭では何をすればよいか。

親としては、内容を読み、ポジティブな報告だけを子どもに伝える。もしネガティブなことが書いてあったり、○が1つもなかったりしても、それは取り上げない。

子どもが高学年ならば、シート(カード)の内容を見て先生の評価に不平を述べるかもしれない。その場合にも、子どもの注意をポジティブな方向へ向ける。

終わりに

実は、私たちはセッションの中でこのシート(カード)についてあまり説明を受けず、また実際に使ってもいないのだが、あらためて眺めていると、これは「先生を巻き込んだペアレントトレーニング」ではないかと思えてくる。

これまでペアレントトレーニングを受けてきた方(あるいは当ブログで疑似体験した方)はもうお分かりだと思うが、ペアレントトレーニングの主眼は、子どもにポジティブな注目を与えることで、子どもからのポジティブな反応を期待するというところにある。紹介したシート(カード)の内容や使い方はこれに見事に合致している。

学校の先生は必ずしもこうした考えに立っているとはいえないが、親が「○しかつけないルール」「肯定的なコメントしか書かないルール」を設定することで、「ポジティブな注目だけを与える」という方針に先生を巻き込んでいく。そのためのツールが、今回紹介したシート(カード)なのではないか、というのが私たちの解釈である。

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