セッション7では、「よりよい行動のためのチャート」BBC(Better Behavior Chart)を用いて、日常生活の困難を親子とも穏やかな気持ちで乗り越える方法を学んだ。
セッション8では、許しがたい行動をどうしても制止できない場合の最終手段である「制限」すなわち「ペナルティー」について学んだ。
ペアレントトレーニングを体験した方、もしくは当ブログで疑似体験した方はお分かりだと思うが、ペアトレの教えを一言でいうなら「なるべく怒らない、罰を与えない」ということに尽きると思う。
しかし、子どもの行動によっては、親としてどうしても歯止めをかけねばならない時がある。そんなときにも効果的な罰の与え方がある、というのが今回のセッションの内容なのだ。
制限を設ける前に
繰り返しになるが、制限を設ける(罰を与える)場合、これまで学んだ方法では対処できない、ということが大前提になる。
「無視する/ほめる」の組み合わせ、あるいは効果的な指示の出し方「CCQ」を心がけながらの「予告」「選択」「ブロークンレコード・テクニック」などを駆使して、可能な限り穏やかに事を収めていく。
そして、どうしてもそれらの手段では対応できない時に、最終手段として制限という手法を用いることになる。
警告(イエローカード)
実際に制限を設ける前には、まず警告を与える。つまり、子どもがある行動を始めたりやめたりしない場合、当然与えられる結果、すなわちペナルティをあらかじめ子どもに対して宣言しておく。
これにも効果的なやり方がある。具体的には以下のとおりだ。
- やめてほしい行動、従うべき行動を明確に伝える
- 従わなかった時のペナルティを具体的に伝える
- 警告は一回だけ行う
- 警告は子どもが指示に従える最後のチャンスであり、従ったらほめる
ペナルティー
これでもダメな場合には、ついにペナルティーを与えることになる。
ここに至るまでに、子どもには「指示に従うか、従わないか」という選択の機会を何度か与えている。それでも従わなかったのだから、本人が選択した結果として責任を負わせる、何かを失うという理屈になる。
では、ペナルティーとして何が適切で、何が不適切かというのは難しいところだ。具体的にはその場その場で変わってくるのだろうが、以下のような特性を備えたペナルティーが「適切」とされる。
- 子どもにとって意味があり、大切なこと(物)
- 親がコントロールでき、躊躇なく取り上げることができること(物)
- 短期間で済むこと
- なるべくなら、問題行動と結びついていること
- 体罰でないこと
先生からは、あまり重すぎる、将来にわたり効果が続くものはNG、とのアドバイスがあった。たとえば1ヶ月後の誕生日プレゼントを取り止めにする、といったペナルティーは「やりすぎ」といえる。
ペナルティーは即座に、躊躇せず、徹底してやり通すことが重要だ。前述のとおりペナルティーは「本人の選択の結果」であるし、その内容も重すぎないように配慮しているのだから、安易に妥協するべきでない、ということだと思う。逆に「やっぱりやめよう」と親が思うようなペナルティーは、そもそも適切でないのだろう。
そしてもう一つ重要なのは、ペナルティーが終わったら水に流すということ。つまり、終わってから説明(説教)したり、なぐさめたりせず、すぐに日常に戻る。親としては、せっかくの機会だから子どもにペナルティーの意味を十分理解してほしいと思うところだが、子どもは親の長い話を大して聞いていないので、懇々と諭してもそれほど意味はないということだった。
なお、ペナルティーが終わった後に同じことを繰り返した場合には、警告なく再びペナルティーを与えて差し支えない。
タイムアウト
ペナルティーの一種として「タイムアウト」という手法を紹介された。日本ではあまり馴染みのない手法だが、海外では一般的だそうで、3歳から12歳の子どもに用いることのできる効果的な罰だという。
一言でいえば「何もできない状態を作る」ということだ。楽しいことや一切の刺激を取り去る時間を設ける。
といっても押し入れに閉じ込めるのではなく、目が届き、家族の集まる場所で行う。たとえば壁際に椅子を置くような方法にする。危険なものもないが、楽しいものもない、そういう環境に子どもを置く。
タイムアウトの時間は「年齢×1分」が目安だというが、最初は短くてもOKだ。
この手法はいきなり使うと家族を含め訳が分からないので、事前に家族に紹介し、練習もしておく。その後、許しがたい行動があれば、警告を経てタイムアウト発動となる。
タイムアウトを無視する場合にはブロークンレコード・テクニックを使えるが、それでもダメな場合にはより重いペナルティーを伝えて選択させる。
以上がタイムアウトのやり方だが、私たちはこの方法に馴染みがないこともあり、まだ練習すら行っていない。
家族会議
許しがたい行動が続く場合などには、家族会議という手段もある。
まず、親が「問題は何で、可能な解決策は何か」ということを明確にした後、会議を設定する。
会議では、穏やかに問題点を述べ、子どもの考えを尋ねる。そして妥協や交渉を通して合意に達する。子どもが望むこと、親が望むことの交換条件があってもよい。
その後も会議をもち、うまくいっているかを確認する。
私たちの場合、仰々しく「会議」と銘打つまでもなく、こうした話し合いは日常的にやっているように思う。私たちは家族が3人だけだし、3人が揃って過ごす時間が長いからだ。
宿題
セッション8の宿題は、前回に引き続きBBCだった。つまり「忙しい時間帯にやるべきこと」の表を壁に貼り、できたらマルをつけるというものだ。
私たちの場合、項目はセッション7の宿題とほぼ同じにし(1項目減らして1日5項目にした)、できたらシールを貼るという方法にした。
シールは、いろいろな柄のものが100枚ぐらい入ったのを文具店で購入した。また、シールは1枚1円という設定にし、10枚貯まったら10円と交換するというルールにした。
最初の2、3日はキューリくんも大盛り上がりで、設定した課題は難なくクリアし、10分ぐらいかけてシールを選び貼っていた。用意されていた表には「月~金」の5日分しかなかったのだが、「土日もやりたい」というので欄を書き足したほどだ。
ところが三日坊主とはよく言ったもので、しばらくすると、課題はこなすのだが「シールは明日まとめて貼るよ」という。正直言うと、一刻も早く寝かせたい夜9時過ぎ、シールを貼る時間もバカにならないので、親としては内心ホッとしていた。
そしてさらに数日経つと、表の存在自体がフェードアウトしていった。
1日5円、1ヶ月150円という金額は小学2年生にとっては大きいと思うのだが、意外にお金に執着がないのか、「未払い金」についても特に何も言ってこない。
未完成の宿題を先生に提出するのは、いい歳をした大人としては恥ずかしいものだ。しかし恥を忍んで提出したところ、「続かない方が多いですよ」とフォローされ、少し救われた気がした。