昨日キューリくんの学校で『お楽しみ会』というものがあった。子どもたちが沢山の出し物をし親は観客、日ごろの成果を親に伝えるという楽しい場のはずだった。
ところがキューリくんがお友だちのユウくんと何やら揉めているのが、遠目からでも確認できた。おそらく二人はお互い自分自身の正当性を主張しようと、担任の先生に駆け寄る。
キューリくんは口が達者なので、身振り手振りを交えて先生にまくし立てるように、彼なりの状況説明をしているように見えた。
ユウくんはというと、どうやら甘えんぼうの性格なのか、先生に抱っこをせがんで泣きじゃくっているように、やはり遠くからであるが見えた。
結局二人とも先生に注意されたようで白黒つかなかったのか、両者とも納得のいかない顔を浮かべ、キューリくんはドシリと床にあぐらをかいてふくれっ面、ユウくんはキューリくんから大分離れた場所で立ちんぼし、やはりプーっとホッペを膨らませている。
この雰囲気を周りのお友だちたちは気を遣っているようで、それぞれのふくれっ面男子のところに行っては、何か言っているように見えた。
私は、これは親がしゃしゃり出てどうこうすることでもないので、私の目の前で熱戦が繰り広げらているドッヂボールを見ていた。たまにドッヂボールの隙間から、二人の様子を伺いながら。
どの位経ったのだろうか。キューリくんとユウくんの距離が何となくではあるが近づいているような気がした。ふむ。
さらに時間が進む。一人のお友だちを間にして、キューリくんとお友だち、ユウくんの三人でピッタリ寄り添い座っている。三人でふざけていたり、話をしている、というわけでもなさそうだった。なるほど。
さらにさらに。キューリくんを確認すると、ユウくんと肩を並べて座っていた。特に何か話している風でもなかったけれど、二人は確かにピッタリと寄り添っていた。
自然と吸い寄せられてしまった二人のように、離れ難く座っているように見えた。
そうなんだな。仲直りってのは。とても難しいことにも思えるけれど、実はとっても簡単なんだよな。
二人の間で「ごめんね」「こっちもごめんね」という言葉が交わされたのかは分からない。けれど何も言葉なく体を寄せ合うことができるということは、ある程度心理的な距離が近い相手ではないとできないことであろう。
その二人の関係がその後、結局どんな方向へ遂げていったなんて想像しなくても分かったので、私はもう二人を気にしないことにした。
「4班と3班集合!」いつの間にか私の目の前で繰り広げられていたドッヂボールの試合は終了して、次の試合を始める号令が先生から掛かった。
キューリくんたちの出番ですよ!