ADHDの場合、脳の機能障害が原因の発達障害と言われていて治すことができないということ、双極性障害の場合は原因が分からなく、やはり治らないという意味では両者は共通しているだろう。
一方キューリくんのADHD不注意型というのは、私の病気である双極性障害とは相性がかなり悪い。
『忘れ物が多い』
『何かやっていても、そのままほったらかしにして次の興味あることへ移る』
『集中しづらい、でも一方で自分がやりたいことに対しては集中しすぎて周りが見えていない』
『片づけや整理整頓は指示されないとできない』
『気が散りやすい』
等々、私を怒らせる要素しかない。
私もだ、怒らないように怒らないようにと始めこそはキューリくんに接することができるのだけれど、何かの拍子に彼の行動に対して怒りのスイッチが入ってしまい怒鳴り散らしてしまう。こうなるとしばらく怒りは収まらない。
キューリくんもキューリくんで、不注意による行動を止められるわけではないので、私の怒りの嵐が収まるまで震えて待つしかないのである。
このようなやり取りは決してキューリくんに良い影響があるわけでないことを私も重々承知しているのだけれど、双極性障害とは感情をコントロールできない病気だけに、その爆発した感情が垂れ流しになってしまい、結果キューリくんが被害に遭うことになるのだ。
キューリくんは私の怒りを買わないようにと彼なりに努力をしているようなのだけれど、障害の性質上1日に何度か不注意による正されるべき出来事を起こす。
すると私は感情を抑えられなくなる、という悪循環の繰り返しである。
こういう場合、どうすれば解決を生むのだろうと考えると、究極のところキューリくんと私が別々に暮らすことなのであるけれど、彼にとっては唯一無二の存在である私なのであり、私とてそれは同様である。
お互いに強い絆で結ばれたいと願っているだろうし、だからこそこんな風に悩み労わり合い、気遣い合うのだと思う。
それなのに「普通の親子のように穏やかに暮らしたい」それができないでいる。
ならばと私は怒りを呼び起こさせないために、少し工夫していることがある。
それはランドセルの中身を詳しくチェックするのを主人に任せていることである。
そうすれば「鉛筆を忘れてきた」「水筒を忘れてきた」といちいちキレることが少なくなるからである。
それから夜お風呂に入って歯を磨き着替えるという一連の動作も全て主人に任せている。
そうすればキューリくんがモタついているところを見て、イラついて怒鳴り散らすこともないだろうと思うからだ。
ところがだ、温厚な主人ですらたまにキューリくんに対して大声を上げていることがある。
そのくらいADHD不注意型というのは、健康な人にすら太刀打ちできない時があるということ。
とにかくADHDも双極性障害も薬を飲めば治るというものではない。『いかに無視し合えるか』そこが共存していく上で大事なポイントになるのではなかろうか。