キューリくんはたまに嘘をつく…と思っていたが。
このことに関して小児科の発達外来の先生に相談したことがある。
先生からは、
「嘘つくんじゃない!と頭ごなしに叱るのではなくて、嘘だと分かっていてもそれに付き合ってあげることだ」
「そのうち嘘をつくのが抱えきれなくなって辛くなり、本当のことを告げてくるものだから」
という助言を頂いていた。
だから私たち夫婦はキューリくんの嘘と思われるものも、特に怒るわけでもなく否定することもなく、受け入れるように接してきた。
そうして彼が心を開き、真実を教えてくれるのを待っている。
と、嘘かもしれないと思われることがいくつかあるわけだけれど、とりあえずは特に突っ込まず日々を送っている。
さてキューリくん、この嘘かもしれないことの1つに『牛乳のストローが折れてしまい、若しくは床に落ちてしまい学校で飲めない』ということがある。
キューリくんの学校、お昼の時間に出される牛乳は小さな紙パックタイプであり、1年生の内は一度もそんなことはなかったのだが。
なのに2年生になってから「ストローが床に落ちて飲めなかった」「ストローが折れて飲めなかった」と毎日のように持って帰ってくるようになった。
私としては「飲みたくないから嘘をついて持ち帰ってくるんだな」という解釈をしていたわけだが。
昨日、折れたストローという証拠を持ち帰ってきたのである。
紙パックの小さな穴に刺そうとした跡なのか、白く細長いストローは何か所も細かく折れ曲がっていた。
確かにこれではもう刺して飲むことは不可能であろうし、代わりのストローもないようなので、飲まずに持って帰ってくるしかない。
床に落ちるというのも、おそらく力んでストローの穴に刺そうとして落としてしまったという説明がつかなくもない。
それから1年生の内はストローが刺せないと担任が刺してくれていたようなのだ。
ところが2年生になってからは、その手助けが無い。
でもストローの折れ曲がりは、キューリくんが我々夫婦に怒られたくないがために細工したものと考えられなくもないけれど。
とにかくこれ以上はキューリくんを責め立ててもキューリくんの心を傷つけてしまう恐れもあるので、一旦はそれを真実と受け取ることにした。
「嘘つくな」と大声で怒りたい気持ちを抑えて受け入れるということ、これはとても努力のいるものだ。
怒ってしまった方が事の解決があっという間で圧倒的に楽だからだ。
けれど長期的に見ると、疑われ怒られたことが蓄積されることによって子どもはその大人に心を開かなくなり、『適当なことを言う』『反抗的な態度に出てくる』、という風にあまり良い発展の仕方をしないように見ていて思う。
身近な例ではキューリくんの学年主任に対する態度などまさにそうで、彼は主任のことを全く信用しておらず、心を開いていないんだということを私に教えてくれることすらある。
だからこそ、家くらいは心開ける場所が必要だと思うし、私は嘘も本当もひっくるめてキューリくんを受け止めなければならないのだ。
とりあえず家で、紙パックストロー刺しの練習でもしてみようかな。