「(リンク先は音が出ます→)机にこうやってして寝ると結構気持ち良いんだよ」
テーブルに突っ伏すポーズを突然キューリくんが取り説明した。
「へえそうなんだ。でもそれっていつやってるの?」
「休み時間。休み時間に寝てるの」
「へえそうなんだ」
としか答えようがなかった。
でもキューリくん、活発なキャラなので休み時間はお友だちとコマを回して遊んだり、鬼ごっこをしたり、昆虫採集をしているはずなのだ。
本当に休み時間に寝るのかな?少し疑問であったけれど一旦その言葉を信じることにする。
すると数秒経った後。
「あっお母さん間違えた。ぼく授業中に寝ているの」
なんというセンセーショナルな発言。授業中に寝ている!?
「なんで授業中に寝ているの?」
「うん、それはね。授業がつまらないからだよ」
ああ、そういうの、お母さんは中学校とか高校ではやってたけどね。
「あとはぼーっとしている時もあるよ」
ああ、それもお母さんもやってたよ。ただし中学校以降。
「そうか。でもキューリくんよく考えてみて。キューリくんが発表している時に、お友だちが寝ていたらどういう気持ちがする?」
「嫌な気持ちがする」
「そうでしょ。先生は実はね、キューリくんたちの授業を一生懸命考えてくれていて、授業っていうのは、その先生の考えたことを発表する場なんだよ。だからキューリくんが寝ているのはルール違反だし、先生もそんなキューリくんを見かけると、とても悲しい気持ちになるんだよ」
「そうだったのか」
キューリくん真面目な顔で納得。
「キューリくんはさ、国語や算数なんかの、学校の教科の中ではたまたま興味のあるものがないだけで、つまりその尺度だけで測れないだけなんだよな」
お酒を飲みながら普段あまりしゃべらない主人が会話に参加してくる。
でも確かに主人の言う通りかもしれない。学校で勉強することというのは、大人たちが勝手に決めた『~をやるべきだ』というものを押し付けられやっているだけだからだ。
そこに自分の興味がはまればいいのだけれど、まれにキューリくんのように全くはまらない生徒もいるのだと思う。
学校で教えてくれることだけで世界は構築されているわけではないことに、キューリくんは小学校2年生にしてすでに気付いてしまったのかもしれない。
ところがここが学年主任の気に入らないところなのかもしれない。キューリくんの成績は悪くはないのだ。寧ろ算数など、成績がよくて表彰されたことさえある。
これは確かに主任ににらまれても仕方ないだろう。
『授業を聞かない子=勉強ができない子』という図式が頭カチコチな主任の中では出来上がっているであろうからだ。
というわけで本日、いよいよ担任、学年主任との面談があるわけだけれど、その他にはどんな問題が飛び出してくるのだろうか。
なるようになるしかないが。