キューリくんサーフィンへ行く

私たちのような出不精夫婦には有難い、『子どもだけで参加できるツアー』というのはこの世の中には沢山ある(言い訳をするようだけれど、私に持病があるためにキューリくんをなかなか外へ遊びに連れてってあげられない)。

ゴールデンウィーク最終日はそういうツアーの中で見つけたサーフィンへ参加することになった。

実はキューリくん、去年の夏に同じツアーに参加しているために2回目となり、一応初心者ではないので、そんなに緊張もしないだろうと大人は安心しきっていた。

集合場所までは主人が連れて行ってくれるということで、私は家でグータラしているだけでよかったのだけれど、なんと主人、電車の棚に荷物を上げたことをすっかり忘れて電車を降りてしまった。

それから荷物を捜索し、ようやく見つけたのは東京の端。そこまで取りに行き、そこから直接サーフィンスクールが行われる茅ケ崎まで電車とタクシーを駆使して15分遅れで着いたようなのだ。

キューリくんは意外と時間に厳しく、習い事などでも少しでも遅れると混乱状態になる時が多々あるので、昨日もそうなってしまったのでは?と心配したけれど、それはなかったようだ。

ところがどうにかこうにかサーフィンを楽しんだはずのキューリくんなのに、家に帰ってきてブスくれている。何だ、どうしたというんだ。

「今日はどうだったの?」

「ぼくのお菓子、皆のより少なかった。お菓子休憩が30分もあったのに!」

「ぼくのは家から持って行った小さなチーズのお菓子とお父さんが駅で勝手に選んだグミだった」

「それなのに皆は沢山もってきているんだもん!」

「そうか、キューリくんそれは恥ずかしかったね」

「そうなの」

おそらく主人は駅のコンビニでキューリくんにお菓子を選ばせて買う予定でいたのだと思うけれど、事件発生で選ぶ時間がなく、グミだけ買うぐらいしかできなかったのだろう。

「それじゃあさ、お父さんに買ってきてもらったアジの押しずし食べる?」

話題を変え気をそらそうと新しい話題を提示してみる。

湘南地方では有名なお鮨。私は好物なので、ついでに便乗して主人に頼んで買ってきてもらっていたのだ。

新しもの嫌いなキューリくんなので、多分食べないだろう、という計算をしていた。

「何それー、食べる!」

興味津々だ。

「いただきまーす。うんめー!」

さっきまでおやつの文句を言っていた人とは同一人物だとは思えぬほどに、キューリくんは立て続けに押しずしを平らげていく。

「このお鮨、お母さんが好きだから、お父さんが買ってきてくれたんだ」

独り言のようにぼやく私。

するとあと一貫を残してキューリくんは「ぼくもうお腹いっぱいだから」と席を立った。

「キューリくん、もう食べないの?」

「お腹いっぱいだもん。もう入らない」

やったぜー!私はキューリくんの心が変わらない内に、お鮨をほおばる。

「キューリくんありがとう、美味しかったよ。本当はまだ食べたかったんじゃないの?」

「ああいう風に言わないと、お母さん遠慮して食べないだろうなと思ったの」

何それキューリ的心理作戦。

お菓子が少なかったとブスくれるキューリくんと、食べたいお鮨を譲るキューリくん。

幼児と児童の間で揺れるキューリくん。見逃してはいけない瞬間に立ち会えた、そんな気分であった。

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