昨日は3か月に1回のスイミングクラブの水泳記録会であった。
キューリくんは選手なので、他にも試合や記録会など土日は潰れることが多いが、昨日の記録会はスイミングクラブ主催のものになる。
ところでキューリくん、この3カ月というものの、実際に具合が悪いこともあったのだけれど、主にはサボりで水泳の練習を休んでおり、週2回以上練習に参加しなければならないところを、週1回、若しくは練習に全く出ない週なども存在していた。
そんな状態で記録が伸びるわけもなく、正直あまり記録会に同行したくないと思っていたのだけれど。
「お母さんにもついてきてもらいたい!」というので早起きし身支度し、家族総出で(と言っても3人だが)でスイミングクラブへと向かったのであった。
長い長い待ち時間の後、ようやくキューリくんが泳ぐ番である。
見学室は人でごった返しているのが想像されたため、私は主人に任せ、そのままその場を離れず座っていた。
5分位経っただろうか。主人がうなだれて帰ってくる。
「どうだった?」
「しっかく」
小さな声で主人が言った。
4種目メドレーの泳ぐ順番を間違えたらしい。
あまりにも初歩的ミスすぎて、一瞬私の思考も止まった。
怒りがこみ上げてくる。
練習をサボるからこういうことになるんだ。
怒りを抑えられなくなった私はキューリくんと主人をクラブに残し、一人駅へ向かい、そのまま帰ってしまった。
「ただいまー」
おそるおそるとした声が玄関で聞こえた。キューリくんの声だ。
主人はすぐに居間に入ってきたけれど、キューリくんはなかなか入ってこない。
仕方がないので迎え入れに行く。
居間のドアを開けるとそこには大きな目をさらに見開いたキューリくんがいて、私を見るなりこみ上げてくるものがあったのだろう。
「お母さん、今日ぼく失格になっちゃったよ」
そういって涙をボロボロとこぼした。
「どうして失格になったか分かる?」
「うん。練習に出なかったから」
「そうだよ。このままじゃキューリくん。後から選手になったナナコちゃんや、ユウくんに抜かされちゃうよ」
「やだ」
「だったら頑張って練習に出なさい。サボらない」
「…はい」
こうして悪魔(私)と契約したキューリくんは、夏期講習会にもまんまと参加させられることになりそうだ。
◇
一方キューリくんの部屋、日を追うごとに散らかり、まさに記録を伸ばす日々であった。
故に一度ここでリセットしようと、水泳記録会の後は家族全員がキューリくんの部屋に集合し、片付けに勤しんだ。
と言いたいところだけれど、キューリくんは1人レゴブロックをひっくり返し、遊んでいる。
さすがADHD(1つのことに集中できない)というところだけれど、昨日の私はそれを許さなかった。
キューリくんはしぶしぶ片付けに参加し、そうして写真のようなキレイな状態を何カ月ぶりかに見る。
◇
ADHDのキューリくんと、ADHDかもしれない(まだ診断結果待ち中)主人からすれば、部屋が散らかっているということは気にならないようなのだけれど、私はADHDではないので、気になって仕方がない。
すると必ず何カ月かに1回、私がブチ切れるということが定期的に繰り返されるわけである。