頭では分かっている。最近ではそれに備えて心を安定させる薬も増量している。
なのにそれが仕事であるかのように、一日に1回はキューリくんを怒鳴る。
つまりキレてしまう。
いや、1回なんてものじゃない。実際のところは数え切れないほどキレまくっている。
自分のペースを大切にしたいキューリくんと、時間を無駄にせず、てきぱきと手早く片付けてもらいたい私。
この2人が同じ空間にいて、衝突しないわけがないのだ。ほぼ真逆なのだから。
◇
キューリくんは私に怒られるとドキドキした顔つきになり、時には耳を塞ぐ仕草を取ることさえある。
そういう様子は増々私の怒りを助長させ、安定剤をいくつ飲もうと汚い感情が無限に近く溢れ出てきてしまう。
私の怒りが収まるのを待つしかないキューリくん。
怒りを出し切らなければ次の段階へ進めない私。
主人がいる時はまだいい。主人が間に入り、大惨事に至るまでのことはないからだ。
ところが平日、キューリくんと2人きりで過ごす時間というのはたっぷりあり、この長時間の内に私の心を中庸に保っておくことができない出来事が小さくも大きくも細かく起こる。
それらに心を揺さぶられ、つい躁の方向へ心の針が振り切ってしまう時があるのだ。
ダメだと分かっていながらも、長い針は怒りの方向を指し、キューリくんに対して厳しい言葉を投げなければ気が済まなくなってしまう。
とても危険で征服的、己の欲望を満たすために発動する、相手のことなどもはや考えていない、一方通行の感情でしかない。
それを小さな子供が受け止めようと必死になる。
大きすぎて受け止められるはずもないというのに。
◇
2週間後に精神科の受診が私はあるのだけれど、もしかしたらもう少し早めに受診した方がいいのかもしれない。
或いは電話でもいいので、薬の量を増やしていいかと相談するなど、とりあえずの応急処置を行った方がいいのかもしれない。
私の精神病とは見た目には分からないものだ。
だから仕事から帰ってきた主人は、それまでキューリくんと私の間で壮絶なやりとりが交わされていたなどということは、知る由もない。
見た感じは普通の仲良し親子にしか映らないのだから。
でも平日の昼間、キューリくんは私からネチネチと怒られる場面が多い。
私自身でも「そこまで言う必要があるのか?」と疑問に感じながらも、とにかく言いたいことを口に全て出し切らなければ気が済まない自分が存在するのだ。
◇
ADHDと双極性障害。
悪い意味で刺激し合って、症状を悪化させあっている関係。
この悪循環から抜け出すにはどうすればいいのか。
手っ取り早くは、キューリくんが投薬することで大人しくなり、若しくは私の安定剤の量を増やすことで、麻薬のようにキマッた状態を作り上げるのかどうかといったところか。
互いに根治することはない障害で、対症療法の道しかないのだから。