つい先日の出来事として、小学校の先生のお手紙に『キューリくんが授業中に集中できていない教科がある』というご指摘を頂いた。
実はキューリくん、以前に発達外来の先生から発達障害の疑いを掛けられており、「もし日常生活に支障をきたすようであれば、再び来院してください」という指示を受けているのであった。
いわゆるグレーゾーンである。
このことについて詳しく書くと、まず年長の春のこと、定期的に受診していた近所の総合病院の中にある発達外来で「ちょっと発達障害の疑いがあるかもしれない」と診断され、でも決定的なものはなかったようで、その場は帰ることとなった。
ところがこちらの発達外来、いつも混んでいて(担当の先生の枠が極端に少ない)、次の予約が思うように取れない。
そこでキューリくんは女子医大の発達外来を受診することとなったのだった。
女子医大で生まれたキューリくんであるし、元々は女子医大の発達外来に通っていたこともあり(赤ちゃんの頃は頻繁に病院へ通わなければならなかったので、家近くの総合病院へ転院した)初診扱いとならず、スムーズに担当してくださっていた先生にお会いすることができた。
女子医大の先生はキューリくんとお話したり、様子を観察した結果「WISC‐Ⅳを受けてみましょう」とおっしゃった。
WISC‐Ⅳとは『言語理解』『知覚推理』『作業記憶』『処理速度』の4項目のIQと、その平均値である『全検査IQ』を知ることができるものである。
発達外来の現場ではメジャーなものらしく、これを用いて子どもの特性を計る
ということはよくあることらしいのだが。
検査時間だけでも1時間以上かかるらしく、また先生からの評価や説明も含めると数時間を要するため、この日は検査を受けずに改めて外来の予約を取り直して臨むこととなった。
「お母さまは外でお待ちくださいね」
検査当日、私は部屋の中に入ることが許されず、待合い室の椅子で腰掛けて検査の終了を待つしかなかった。
何故ならキューリくんが検査を嫌い、途中で逃げ出して私のところまでやってきてしまう可能性もあるので、私は何をすることなく、検査室のドアを固唾を飲んで見守り待機するしかなかった。
不安な時間がゆっくりと流れていく。スマホの時計を何度も確認する。
検査が終わり、キューリくんがドアから飛び出してきた。
「どうだった?」
「面白かったよ!でもつまらないのもあったかなー」
「そうなの??」
検査の内容をその時知らなかった私は、キューリくんの言わんとすることが分からなかったけれど、長時間の検査に耐えられたことを誇らしく思ったものだ。
「少し時間がかかりますのでお待ちください」
先生がキューリくんと私に伝えてきた。
おそらく緊張から解かれたキューリくんは、ペットボトルのジュースをごくごくと飲み、小児科の片隅にある子ども用の絵本を物色してきて「これにした!」と見せてくれた。
それはキューリくんが好むジャンル、電車の絵本であった。